まなめはうす

良いニュースで、良い人生を。

「作詞少女」はスゴ本

2018年のナンバーワンが早くも決まった感じである。
何度も読み返したい一冊である。

作詞少女~詞をなめてた私が知った8つの技術と勇気の話~
仰木 日向
ヤマハミュージックメディア
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<目次>
第1話 詩文と私
第2話 作詞とはどういう技術なのかという話
第3話 歌詞のフォーマットの話
第4話 資料読みの話
第5話 字数と語彙力の話
第6話 自分らしさの話
第7話 歌い心地とナンセンスの話
第8話 作詞の全行程の話
第9話 私が知りたくなかった作詞の話
第10話 江戸川悠の話
第11話 一番大事な作詞の話
第12話 伊佐坂詩文の話
第13話 共感する歌詞の正体の話
第14話 音楽という呪術の話
第15話 テーマの作り方の話
第16話 周りの目と羞恥心の話
最終話 相対価値と絶対価値の話

作詞ならできそうって思ったことが、私にもある。この主人公が同じで、実際に作ってみてそれをプロの作詞家にボロボロに指摘されてから教わるといったストーリー。プロ=著者の教える8つの技術についてとても納得のいく説明になっている。

私が昔から好きなアーティストの作詞はほとんど同じメンバーがやっていて、その人の言葉が好きなのかなとも思っていたが、一方で好きな曲の歌詞はすべて好きになる傾向があり、やはり曲の方が大事なのではと思っていた。この考えを改めたきっかけは、ラブライブ!であり畑亜貴だ。

畑亜貴は11人いるとのことだが、実質彼女一人で300曲以上すべての歌詞を書いている。おかげで、この本で言うところの「資料読み」をする必要がなく、むしろ1から100まですべての世界を彼女が作り上げなくてはいけない。そして我々はいつだってその歌詞にやられている。アニメのストーリーの中でその歌詞が意味すること、ライブで聞いた時に意味すること、出演者がどう受け止めるか、ファンがどう受け止めるか。その時その時にまた違った想いが湧くところから、彼女はいったいどれくらいの立場にたってこの歌詞を遂行しているのだろうかと一度は聞いてみたいと思ったし、自分が作り手になったらいくつもの立場でその言葉をどう受け止めるのか考えながら作らなくてはいけないなとも思わされた。まあこれは仕事でも常々考えていることだからたどり着きやすいところだが。

受け手である自分でも予想のついた技術は少なくないが、「作詞とはどういう技術なのか」と「韻と母音」についてはこの本で初めて気づいたところだ。後者は聞いていただけでは分からなかった発想だったし、このステップが無ければ歌い手が可哀想にさえ思うほど必要と思ったし、ここは作詞家としてのセンスが非常に試されそうな気もした。

また、サブタイトルに「8つの技術と勇気の話」とあるように、前半は技術の話で後半は勇気の話。この勇気の話はすべてのクリエイターが読んで考えるべきことだと思ったし、私自身サラリーマンという立場でもネットで発信しているところから、"自分自身"と"偽善"について考えさせられることとなった。単純に技術だけでなく、クリエイターとして向かい合わねばならないことをしっかり投げかけてくれるところが大切で、この本のすばらしさでもあると思う。

良い作詞で、良い人生を。
私は作画が失敗してしまったタイプの人間ですが、作り手(親)の想いを作詞でカバーできそうな気がした一冊でした。

こっちも読んでみようかな?

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~
仰木 日向
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